根も葉もある嘘八百

光れ 光れ その先に何があっても

きみはペットと女の子のわがままの話

女の子はいつだって、自分を肯定してくれる人を求めている。気張らず、取り繕っていない自分には価値がないんじゃないかと不安にさいなまれながら、そんな自分でいいよ、と言ってくれる人を求めている。オタク女子は、特に。

 

きみはペット」が好きだ。最近話題の「植物図鑑」が「きみはペット」と似ていると称されることがあるけれど、私は全然違うと思っている。どちらかを否定する、という意味ではなくて。両方とも、少し疲れたOLが道端にいる美男子を拾う所は共通している。でも、そこから先の描き方は全く違う。「植物図鑑」には少女漫画的夢がつまっているけれど、「きみはペット」にはブラックユーモアと哀しさがつまっている。

武は外で女の子といちゃつくし、○○もするし、それでもスミレちゃんのもとに帰ると、従順なペットを演じる。スミレはバリキャリすぎて会社でうまくいかなかったり、憧れの人と交際しながらも肩肘張りすぎて疲れている所で、家に帰ると素直にグダグダできる。

2人とも本当にダメなところ、欠陥があるのだけれど、そこを無理にさらしたり、認めあわせたりするのではなく、気が付いたら見せてて、気が付いたら補いあっている。

そんな、一見不自然なのにだんだんと近づく二人の距離と、とは言えど正解のすぐに見つからない関係性。そしてそれに振り回されていく周囲の人物が、とても面白い。

昨日の「からっぽダンス」についてでも書いたが、ダメでいいんだよ、ということをかっこ悪すぎず、嘘くさくしすぎず描くことはすごく難しい。でもそれができている作品は、とても魅力的だと思う。

 

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