根も葉もある嘘八百

光れ 光れ その先に何があっても

人生は不自由なくらいがちょうどいいって話

遅ればせながらTOO YOUNG TO DIE!を見てきた。このタイトルすごく好き。自分が今中学生だったらこの映画をきっかけにtoo to構文覚える。

下ネタも音楽も時系列飛びも満載のクドカンらしさ満載の映画だった。

中でも私は宮藤官九郎の描く死生感が好きだ。

↓ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください。

 

 

木更津キャッツアイのぶっさんの描き方でも感じたのだけど、クドカンは死、にたいしていたずらなハッピーエンドやお泪頂戴を描かない。

今秋のTOO YOUNG TO DIE!では、神木君演じる関の生き様がまさにそうだ。予告だけ見ると、不慮の事故で死亡した高校生が地獄で奮闘して現世に戻る!というサクセスストーリーに思える。しかし実際に見ると話の展開法が完全に予想外である。

主人公はせっかく生き返れてもなかなか人間になれない。インコ、ザリガニ、犬、バッタ。(あと一つはあまりにもしょーもないので劇場で見てほしい)

しかもあろうことか、地獄から現世に一度生き返るたび、現世では10年の月日が流れている。つまり何度も転生に失敗している時点で高校時代の彼女に会うことは不可能だ。生まれ変わりなんて、簡単にできない。そんな当たり前のルールをきちんと映画の中にも入れている。ちなみに、自殺は一番の罪、なんてくだりにもまっすぐさを感じる。

となると最後の結末は少し予想ができて、実際に予想通りの甘酸っぱいエンディングが待っている。

 

時間の流れをはっきりと描き、観る者の当初の予想を裏切るところに面白さを感じた。

 

そしてもう一つ。地獄の反対、すなわち天国の描き方がとても皮肉に満ちていて、いい。

主人公はある理由から天国への転生を目指し、成功する。しかし天国はイメージしていたものと全く違う。自動ドアを開けると回転ずしのベルトコンベアのような場所にカプセルが並び、そこに死者が一人一人入っている。ボタン一つで食事は配膳され、目の前の画面で好きなものをみることができる。どうやらS○Xを所望できるボタンもあるらしい。

しかし、大声を出すことも、カプセルの外に勝手に出ることも許されない。

苦しみは全くないが、無意識のままに統制された世界。そこを、地獄よりも地獄でつまらない、と称し主人公は本来の地獄へ帰っていく。

天国と地獄の対比により、本当の楽しさは苦労を伴わなくては得られない、何よりレディーメイドで何でも得られることに飼いならされた現代人への警鐘というメッセージが伝わった気がする。

 

なんてまじめな考察抜きにしても最高にバカバカしくて笑えるストーリーだった。下ネタ耐性のある人には絶対に楽しめると思う。