根も葉もある嘘八百

光れ 光れ その先に何があっても

キンプリがキンプリを呼んだ話~一条シン編~

SMAP解散騒動。今でこそ文字にできるが、2年前の私にとって口にするのもはばかられるくらいの哀しい出来事だった。

信じているものが簡単になくなってしまう。事の経緯はもう気にしないが、当時はエンターテインメントを演じきったと信じているブランドが、抗いきれない現実によってよどんでしまう、それがあろうことか私の一番愛するジャニーズの世界でだなんて、その事実が受け入れられなかった。

辛いことがあればジャニーズのアイドルを見て元気を出した。それなのにジャニーズについて考えることが自分を辛くさせる。しかもこの時点では自分自身の悩みも解決されていない。

袋小路に詰まった時に、Twitterで見つけたフレーズ

 

世界が…煌めいて見える!!!

 

電子ドラッグと呼ばれた映画「KING OF PRISM by Pretty Rhythm」そう、二次元の方のキンプリだ。

なんだかよくわからないけどいってくれ、きっと幸せになれるから、そんなヤバい宣伝文句を真に受けて、私は突如キンプリを見に行った。


今でも忘れない3月1日、会社近くの映画館で。

私はアニメーションを普段見ない。好き嫌いではなく習慣がない。HPでキンプリのストーリーを読んでも、正直なところちんぷんかんぷんであった。主宰ってどういう意味?オバレって何者?


そして映画を始めてみて、世に言う煌めき、を初めて体験した。


なんじゃこりゃ。


ストーリーについてはまるで頭に入らなかった。覚えているのは何本ものペンライトを手にし、お面まで被ったファンと、勢いのある歓声。会社帰りに無知かつ空手で来た私は手持ちぶさたを感じるくらいだった。


でも、確かに、楽しかった。エンディング曲のドラマチックLOVEを聞きながら、これLove so sweetじゃん、と小さくPPPHをするくらいには空気に飲み込まれた。


キンプリから教わったことは二つ。

自分は何かに憧れるオタクが好きだということ。

きらめきを届けようとする人が好きだということ。

ストーリーの終盤、劇中世界のトップアイドルグループ、Over The Rainbowが活動休止を宣言する。悲嘆にくれるファンの前に突然現れる新人。それがタイトルに記した、一条シンくんだ。平たく言えば事務所トップが突然見いだしたスターです。ジャニオタは佐藤勝利くんか金指一世くんをイメージしてください。

彼は泣いているファンを笑顔にしようと、突然あげられたステージで精一杯のショーをする。観客は泣き俯いていた顔をあげ、彼のきらめきに魅了される。ペンラは自然と虹に輝く。


ああそうだ、人を笑顔にするものがエンターテイメントじゃないか。拡大解釈だが、彼の堂々たるふるまいと眩しい笑顔に、当時の私は救われた。そして劇中の観客席と地続きになっている映画館の客席のおうえん上映に、私は魅せられた。なんてみんな幸せそうなんだ、世の中にこんな楽しい世界があったなんて、と何人もの友人を誘い(キンプリ8932)、最終的には還暦近い母親までも道連れにし映画館に通った。


そうするうちに心の傷も癒え、ジャニーズというエンターテイメントにも徐々に帰ってこれるようになった。一条シンくんの真っ直ぐさに、顔をあげる勇気をもらった。この頃はまだ、その笑顔が、むき出しの素朴なものだと思っていたから余計に。

そして映画の続編が作られると知ったとき、絶対見に行く、と心に誓ったのだった。当時は、次もまたおうえんを楽しもう、お祭りに参加しようという気持ちが強かった。


しかしながら、続編 KING OF PRISM -PRIDE  THE HERO-は私の根幹を予想以上に揺さぶる作品となるのだった。(続く)