根も葉もある嘘八百

光れ 光れ その先に何があっても

世界一難しい恋と恋愛ドラマが難しい話

「世界一難しい恋」一昨日最終回を迎えた。私はこのドラマが好きだった。大野くん演じる社長の子供みたいにふてくされたりもがく姿は今まで大野君が演じてきた怪物君や歌のおにいさんのキャラクターと重なってなんだか成長が感じられた。それでいて時折見せるふっと力の抜けた表情は30代男性としての色っぽさが抜群にでていた。ヒロインの波瑠さんも、いろっぽすぎず、フェミニンすぎず、凛とした姿が朝ドラの印象と重なりつつも、現代ドラマならではのファッションやあどけない笑顔を沢山見せてくれて好感が持てた。彼女こそ国民的アイドルのラブストーリーの相手役にぴったりだと思った。

オープニングロールも、横浜のオシャレな街並みと思わず身体を小刻みに動かしたくなるような軽快さがマッチしていて素敵だった。視聴率も最終回が16%と、恋愛ドラマ氷河期の中で好成績を残していた。

 

ここから先は結末に触れるのでまだ見ていない方はご注意ください↓

 

しかし、ストーリーの終わり方に、今の恋愛ドラマの限界を感じてしまったことも事実なのだ。物語は、非常にゆったりとしたハッピーエンドを迎える。なんてったって終了10分前に卵の固さだとか靴下のたたみ方だとか、同棲している二人はたわいのない口論をしているのだ。私はラテ欄を読み間違えていて、本当はもう一話あるんじゃないかと思ってしまった。

最終回の内容はこうだ。めだたく復縁した社長と美咲だが、社長は結婚を前提とした同棲を美咲に申し出る。しかし、美咲は関係性が壊れることを恐れてそれを拒否。どうしても距離を縮めたい社長はまたもやおかしな手を使い回り、根負けした美咲は同棲を受け入れる。しかし生活習慣の違いが案の定気になってしまう社長は、それを我慢し続け、機嫌が悪くなる。見かねた美咲が社長を諭し、ようやく二人は本音を言い合える関係に。そして一年後も、まだゴールインはできないがほのぼのと同棲生活を過ごす2人なのであった。………

 

平和だ。最終回なのに何も大きなアクシデントが起こらない。ヒロインは生死の境をさまよわないし、男は海外出張に行かないし、交通事故も起こらない。病院も空港もチャペルも出てこない。(ホテルのウェディングパーティーは出てくるけれどそれはライバル役のサイドストーリーだ)

 

90-00年代のラブストーリーを見つけている身としては、少しさみしい気分になったも事実だ。今は、2人がくっついてもめでたしめでたしにはならない。キスシーンでカメラをぐるぐる回しておしまい、の時代ではなくなった。くっつくってどういうこと?生活は?仕事は?

そんな現実的な課題を明確に描かないと、現代ではドラマが成立しないのかもしれない。MARSの時も話したけれど、「昔の作品だから」というエクスキューズがないと、ドラマチックな展開を受け入れられなくなっているのではないか。

 

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